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「ボーイズラブ~腐女子の庭」は、ボーイズラブ系コミック・小説・同人ソフトの紹介サイトです。
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王子様の刻印

王子様の刻印

王子様の刻印
著: 夜月桔梗
発行: イースト・プレス
シリーズ: 王子様の刻印
レーベル: アズ・ノベルズ
ジャンル:外国人 王子

浅緋は窃盗一家・ミヤタ家の末っ子、18歳。
ところがある日、目を開けると、神々しいほどの美貌をもつアレム国王子、リゼスの腕の中に……。
どうやら彼は足を滑らせた王子を庇って崖から一緒に落下、その衝撃で記憶喪失状態に陥ってしまったらしい。
記憶が戻るまで宮殿に暮らすことになった浅緋……
その心細げな様子が愛しくて、つい強引に身体を繋げてしまった王子だが……。
書き下ろしロイヤル・スリリングラブ。


「君がいてくれるだけで、わたしは嬉しい」
差し伸べられた手に手を乗せて、引き寄せられるままに身をあずける。
「でも、何かしたいというのであれば……キスをしてくれないか? アーティの方から」
そんなのいくらでもしてあげると思ったけど……考えてみれば自分からしたことってほとんどないかもしれない。……えっちの最中、無意識にしていることはあるかもしれないけど。
「じゃあ、もう少しかがんで」
身長差があるから、リゼスの協力が必要だった。
「目も……閉じてくれる?」
綺麗な顔を見ているだけでドキドキした。綺麗な顔も三日で見慣れるなんて、いったい誰がそんな嘘を言ったのかと思う。
「……ん」
ちょっと恥ずかしかったけどオレの方からキスをして……軽く重ねただけのキスでは物足りないという顔をされて、もう一度やり直した。
キスが甘いっていうのは本当だって思う。ドキドキとふわふわで、そのうちドロドロになる。
「もっと君を食べたいけど……」
意味深な囁(ささや)きに耳まで赤くなる。
「夜まで我慢しよう」
「そうだね」
名残惜しいが、オレたちは抱き合っていた身体を離した。
「あの……リゼス。お願いがあるんだ」
「お願い? いいよ、遠慮せず言ってみなさい」
甘やかされるのはイヤじゃないけど、キスひとつでは問題は何も解決していない。
「オレ……何かリゼスの役に立てるようなことをしたい。ただ養っていてもらってるだけじゃなく、働きたいんだ」
具体的に何をしたいと決めていたワケじゃなかった。でも、遊んで暮らすようなのはイヤだった。
兄だと思える人が言った『愛人』という一言が今のオレの状況を的確に表していると思うと……悔しい。
「アーティ」
リゼスはじっと考え込む様子でオレを見ていた。
「オレに何ができるのか分からないから、働くっていったって役に立てるかどうか分からないけど……一生懸命頑張るから。だからお願い」
リゼスはゆっくり息を吐いた。
「分かった。それではこうしよう」
リゼスの提案は、オレがリゼスに日本語を教えるということだった。
「でも? リゼスって日本語も話せたんじゃなかった?」
「発音の特徴から日本語だとは分かるが、相手が何を話しているのか意味が分かっているわけではない」
「そうなんだ。……オレでよければセンセイ役をするけど」
「するけど?」
「そんなことをしたら、またリゼスの大切な時間が減ってしまうよ」
今でさえ充分忙しいというのに、日本語の勉強なんて始めたらもっと自由時間がなくなってしまう。
「アーティと過ごす時間もわたしには大切な時間だ。それに一日三十分くらいなら大した負担ではない」
「それは、そうかもしれないけど……」
「一日三十分の代わりに、毎日続けよう。わたしのスケジュールに余裕がある時は、一時間まで延長してもいい」
「でも……」
「分かった。それではこうしよう。この城でわたし以外に日本語を習得したいと希望する者にも、教えてやって欲しい」
「オレなんかでよかったらいくらでも教えるけど……やっぱり本職でもないオレが報酬をもらうっていうのは、悪い気がする」
それに、よく考えたら王子であるリゼスに言葉を教えるというのはかなり責任が重いことじゃないだろうか?
「や、やっぱりやめておく。リゼスはきちんとした日本語教師から習った方がいいよ」
外交上の大切な席で、オレが教えた日本語が間違っていたり発音が悪かったせいで恥をかかせることになったら困る。
「どうして? とてもいい案だと思うし、アーティが心配するようなことはない」
「でも、センセイはダメ。責任が重すぎるよ」
「そんなに気負わなくてもいい」
「でも……」
「この機会に日本語を勉強しようと思う。アーティが話し相手になってくれたら、早く上達できそうな気がする」
「それは……話し相手くらいならいくらでもなるけど……」
「では、それに関しては決まりだ。……他にも、アーティの遊び相手をするということは仕事のうちに入らないか?」
この場合のアーティはリゼスが飼っているオオタカのことだ。
大きな籠(かご)のなかで飼われていて、よく仕込まれた賢い鳥だから王子か世話係の男(ラリット)の手からしかエサを食べない。
「うん。そういうのは、仕事とは言えないよ」
リゼスと一緒にいる時に籠から出して、ボール遊びの相手をさせてもらえるほどオレにも懐いてくれているが、オレひとりだけの時は籠の外へ出してやることもしない。
聞き役専門の話し相手にしたり、格好いいなぁなどと思いつつ籠の外から眺めているだけだ。
「厩舎(きゅうしゃ)の掃除とか馬のエサやりのお手伝いをしても、それはオレの仕事じゃないよ」
たまにやっているそれらは、単なるお手伝いだ。それに、お金をもらって専門にしている人たちの仕事を取り上げるような真似(まね)はできない。
「君が希望するアルバイトに関しては、もう少し考える時間をもらいたい」
「あ、うん。……お願いしてもいいなら」
「だが、これだけは先に言っておく」
何を言われるのだろうと、オレは少し緊張した。
「わたしがいない時に、この城の敷地より外へ出ることは許さない」

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