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不器用な挑発

不器用な挑発
不器用な挑発
著: 伊郷ルウ
発行: フロンティアワークス
レーベル: ダリア文庫e
ジャンル:御曹司

バーテンダーの伊澤京弥は、店の常連客で老舗呉服屋の御曹司・鴻ノ池悠仁に恋心を抱いていた。
募る想いに夜ごと、悩ましい妄想までするようになった京弥は、店で二人きりになった晩、思いきって告白する。
酔っていた悠仁は京弥にキスをするが酔いつぶれ、翌朝、目覚めたときには何も覚えていなかった。
心に余裕のない京弥は、前夜の責任をとってつき合ってくれと悠仁に迫るが……!?


「うわっ!」
耳元で響いた大きな声に、夢の中にいた京弥は現実へと引き戻された。
あきらかに自分のベッドとは違う感覚、そして、手に触れているザラリとした生地のような感触に、オヤッと思って目を開けた瞬間、いきなりガシッと腕を掴まれた。
「なっ」
驚きに目を見張った京弥が見たのは、愕然としている悠仁の顔だった。
(ああ、そうか……)
悠仁はまさに顔面蒼白だったが、その表情ですぐに京弥は状況を把握した。
狭いソファベッドで悠仁にしがみつくようにして京弥は横になっている。和服姿のままの悠仁は、襟の袷あわせと裾が派手に乱れていて、いつもはスキッと整っている髪も乱れていた。
いっぽうの京弥は、蝶ネクタイを外して襟を開けているが、ベストを着たバーテンダースタイルのままだ。
実は、昨晩の京弥はほんの十五分ほど悠仁に添い寝をしてそのぬくもりにひたっていたが、いっこうに起きる気配のない彼を見て欲を出してしまった。
そっと腕の中から抜け出し、看板の明かりを落として店の戸締まりをし、レジスターに鍵をかけてから悠仁の元に戻ると、仮眠用の毛布を手に再び彼の隣に横になり、そのまま深い眠りについた。
悠仁が目を覚ましたときの驚きを考えなかったわけではないが、彼と一晩、過ごせるという甘い誘惑に負けたのだ。
「きょ……京弥君、ここはどこだ……」
京弥を押し退けるようにして起きあがった悠仁は、乱れている裾をササッと合わせ、襟元を整えながらも、見知らぬ風景の部屋を見まわしていた。
店の更衣室に悠仁は足を踏み入れたことがないのだから、自分がどこにいるのかがわからなくてもしかたない。
だが、自分を前にした彼の慌てぶりから、昨晩のことはなにひとつ覚えていないようだと京弥は容易に察した。
「京弥君?」
切羽つまったような顔をした悠仁に、問いつめるような視線を向けられ、ようやく京弥は口を開いた。
「悠仁さん、本当に覚えていないんですか? 昨夜の悠仁さんはいきなり僕を更衣室に連れ込んで、それでキスしてきて……」
言いながら起きあがった京弥は、わざと恥じらったように俯くと、上目遣いで悠仁の反応を窺った。
誰かと勘違いして自分からキスをしてきたにもかかわらず、そのことを覚えていない悠仁に少し腹がたった。京弥はちょっとした意地悪のつもりで、昨夜の出来事を多少脚色して話していた。
「俺が? 京弥君にキスしたっていうのか?」
悠仁は信じられないとばかりに眉根を寄せたが、京弥と視線を合わせない彼が懸命に記憶を辿たどっているのはあきらかだった。
今の悠仁がこれぽっちも昨晩のことを覚えていないと、そう確信した京弥は一か八かの賭に出た。
「僕は前から悠仁さんのことが好きで……だから昨夜は勇気を出して告白したんです。そうしたら、悠仁さんはわかったって言ってくれて……」
「京弥君? 俺のことが好きって……」
「僕、ずっと悠仁さんが好きだったんです。それで、やっと二人きりになれたから打ち明ける気になって……でも、昨夜の悠仁さんは抱きしめてキスしてくれたけど、そのまま寝ちゃったんですよ」
内心ではドキドキものだった京弥も、まるきりの嘘八百を並べ立てているのではないぶん、しごく滑らかに口が動いた。
それをいいことに、煽るだけ煽って最後におあずけをするのは酷いと言いたげに、ちょっとだけ不満そうな顔をしてみせた。
「ちょ……ちょっと待ってくれ、君は俺を好きだと言って、それを聞いた俺は君にキスをしたっていうのか? そんなことするわけがない」
自らに言い聞かせるように制した悠仁は、ひときわ険しい表情で否定したが、いまさら京弥も退けなかった。
「じゃあ、僕が嘘をついているって、悠仁さんはそう言うんですか?」
ソファベッドに片手をついて、ズイッと悠仁のほうに身を乗り出した京弥は、心外だとばかりに彼の顔をジッと見つめた。
悠仁もさすがに嘘つき呼ばわりするつもりはなかったのか、京弥に詰め寄られて口籠もってしまった。
「いや……その……」
「確かに悠仁さんは酔ってましたけど、ちゃんと受け答えをしてくれていたじゃないですか。それなのに、僕を抱きしめてキスしたことも覚えてないなんて……」
「京弥君、でも俺は……」
さらにズイッと京弥に迫られた悠仁は、困惑も露あらわな顔つきで身体を引いた。
キスされたところまでは事実なだけに、怯ひるんでいる悠仁を前に京弥もついつい気が大きくなっていた。
「自分から手を出しておいて、僕をその気にさせておいて、それで寝ちゃうなんて酷いじゃないですか」
「京……」
「僕だって生身の男なんですよ」
「ま、待て……」
大きく目を見開いている悠仁は、昨晩の記憶がないだけにかなり混乱しているのか、言葉を上手く紡ぎ出せないまま唇をパクパクと動かしていた。
あと少しで顔がくっついてしまうほど身を乗り出させている京弥は、わずかに開いた彼の唇を目にしたとたん、昨晩のキスをまざまざと思い出し、身体の奥がカッと熱くなるのを感じた。
妄想の中に登場する悠仁は、力強く抱きしめてくれるし、熱いキスもしてくれるが、それだけでは終わらない。

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